バレンシアガ初のメンズ・コレクションがパリで発表された。新任アーティスティック・ディレクターのデムナ・ヴァザリアが解釈するバレンシアガは、まるでピカソのようだ。GQシニア・ファッション・エディターの森口徳昭が現地からレポート。
99年の歴史を持つバレンシアガで初となるメンズのランウェイショー。率いるのは、いまファッション界で最高にヤバいデムナ・ヴァザリアだ。
バレンシアガ コピー 服彼の挑戦の気持ちを汲んで、あえて褒め称えたい。
ジャミラのように肩が張りに張ったスーツ。「スーツは肩で着る」というが、バレンシアガのこれは「スーツは極限まで肩で着る」という感じだ。アーカイブを研究し尽くし、こだわりにこだわったであろうこのシルエットは、限りなくボックス型。トイレのメンズマークがそのまま飛び出したようでもある。一瞬それを見たとき、デザイナーという夢に燃える服飾専門学校1年生が、方眼紙に描いたデザイン画をそのまま再現した服で、なんか思ってたのと違う!──という声が聞こえるような服にも感じ取れた。しかし、それはあえて狙ったものではないだろうか。
パブロ・ピカソは、「僕は死ぬほど練習して、子供のような絵を描けるようになった」そうだ。そんな言葉を思い出しながら、僕はデムナのクリエイションが、駆け出しの頃にしか生み出せない、純粋無垢のシルエットを狙っているように思えた。
このスタイルが、来秋冬も来来春夏も継続されるなら、トムブラウン以降の、メンズの新しいスタイルになる可能性も多いにある。
バレンシアガ 中古 これがオシャレの正解となるかは、世のオシャレさんが飛びつくかどうか。それだけ。
ランウェイではキモかっこいいモデルが着こなしていたが、これだけ肩がごっついんだから、たとえば五郎丸が着たら、どうなるんだろうか?そんな想いが諸々巡った。想像が弾んだのだから、バレンシアガ初のショーは、素敵だったんだと気付いた。